成年後見人になるためには4〜5年かかる
回りに頼れる人がいないとなると、生活面、金銭面、精神面などあらゆる観点からの支援が必要になることは目に見えています。
こうしたケースの受け手として社会福祉士が期待されているものと思います。
裁判所は、各地区の社会福祉士会が作成する登録名簿により人選を行っています。
成年後見業務を希望するのであれば、まずはこの名簿に登載されることが第一条件です。
問題は、この名簿に登載されるまでに長い年月かかかるということです。
まず、(通常は)地区の社会福祉司会に入会し、正会員となります。
次に、基礎研修(1~3まである)を1年に1回のペースで受講します。
各研修は原則1年に1回しか開催されない(定員オーバーすれば抽選)という過酷な選考が行われる。今年の東京社会福祉司会の例(応募は既に締め切り)では、定員は60人です。
この狭き門である基礎研修を1~3まで1年に1回、3年で3回受講しなければ、成年後見業務を受任することはできません。
しかも、基礎研修終了後は、養成研修、名簿搭載研修(それぞれ基礎研修の終了が条件)を受講して、はじめて成年後見業務の登録名簿に掲載されるわけです。
期間にしても5年程度かかるわけで、この間にしっかりと知見を見につけていかなければなりません。
しかし、研修を受講するとなると、お金(受講料)もかかります。2020年度の東京社会福祉司会の場合、受講料が11,000円、教材費が2,000円、受講日数が3日となっています。
これを毎年やるとなると、なかなか大変であるとは思います。
成年後見のなり手がいなのに、何でこんなに時間をかけて養成する必要があるのか、という意見も目にしたが、なり手不足という点からすれば、この意見は大いに賛成すべきであると思います。
ただ、基礎研修の1~3が1年に1回しか受講できないというのは、もう少し工夫の余地があるように思います。しかし、現場の負担と受講頻度のバランスを考えると、これもいたし方のないところか、とも思えます。
今は、なるべく早く、基礎研修を開始して、成年後見人の条件を満たせるようにできることをやってくしかないですね。